まだ患者さんを死なせたことはありません
――忙しくて、「もう嫌だ」と思うことはない?
【伊佐山】本当に疲れているときに、「もう1台」と言われると、ちょっと悲しい気持ちにはなりますけど。でも、僕は来たら来たでうれしいですよ。
――それは、どうして?
【伊佐山】やっぱり、勉強になりますから。
――ほー、偉い。
【伊佐山】あっ、でも、病気になる人のことを考えたら、喜んじゃいけないんですけど。
――「勉強」という言葉が出たので聞きますが、みなさん、勉強はどのように?
【相田】僕は仕事が終わってから、22時半くらいまでは病院に残って勉強をしています。早く帰れる診療科を回っているときは、むしろ「よかった、勉強時間が取れる」と思っちゃいます(笑)。
――うわー、かなり遅くまでですね。ほかのお二人もそのくらいですか?
【伊佐山】はい、そのくらいです。
【梅村】研修医仲間で一緒に勉強会をすることもありますよ。
――研修医のみなさんって、本当に勉強熱心ですよね。
【相田】医療ミスはいつ起きてもおかしくない、という怖さが常にありますから。でも、なかにはそうじゃない人もいますよ。勉強だけじゃなくいろんな意味で、「自分の家族をコイツには診せたくない」と思うこともありますから(苦笑)。
――ちなみに、診察中にわからないことがあったときは、どうしているんですか?
【相田】メモ用紙にメモしておいて、それを専門書で調べます。診察室ですると患者さんに怪しまれますから、1度部屋を出てからすることが多いですね。
――へえ、紙なんですね。グーグルで検索……はさすがにできないとしても、デジタル機器を活用したりはしない?
【相田】いやぁ、患者さんの前でスマホを出すようなことは、できませんよ。
【伊佐山】タブレット端末に専門書や教科書をデータ化して保管する人はいますよね。百科事典みたいに膨大な量でも、全部まとめておけるから。でも、それを病院内で使えるかというと、雰囲気的に難しいかな……。