少しくらいラクをしたって構わない

さて、筋トレから降りたいま、心の平安を得ることはできたが、一方で身体が弱くなったことは実感している。

先日、知人のクルーザーに乗り、海遊びをする機会があった。参加者は男性が5人、女性が8人だったので、男性が率先して力仕事をこなす必要があり、SUP(スタンドアップパドルボード。水上を立ち漕ぎで移動する大型のサーフボード)を長距離運んだ。SUPは長さが4メートルほどで、空気を入れるとなかなかの重さになる。バランスよく運ぶには、かなりの力が必要だった。そして、それを漕ぐにもけっこうな腕力が求められた。

その後、海で泳いだのだが、波に逆らって泳ぐのは思いのほか重労働で参った。お笑いコンビ「ANZEN漫才」のみやぞんが今年の『24時間テレビ』で1.5kmスイムをこなす姿を見て「大したことないだろ」と思っていたのだが、自分が海でほんの少し泳いだだけでも疲れ切ってしまった事実を前に、みやぞんを見直すしかなかった。

翌日は全身筋肉痛で、日ごろ鍛えていないことの弊害がモロに出た感じだったが、かつてよく味わっていた筋トレ後の心地よい疲労感を覚え、「たまにはこんな疲れを感じるのも悪くないな」と思った。とはいえ「筋トレ」から降りたことに、やはり後悔はない。

人生は決して長くない。だからこそ、ストレスは少ないに越したことはない。本当はよいとわかっていることでも、無理を感じ始めたらさっさと辞めてしまっても構わないだろう。たとえばそれは「健康志向が過剰な食生活」「日経新聞を毎日必ず読む」「禁酒」「禁煙」などさまざまだが、ストイックすぎる人生は疲れるだけだ。少しはラクをしてもいい。

仕事や家事など人生のベースとなる部分をキチンとこなしているのならば、それ以上の部分においては、自分を甘やかすことに罪悪感を覚える必要はないのだ。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・ストイックすぎる生活は疲れるだけ。こだわりを持って続けてきたことでも、無理を感じるようになったら辞めてしまって構わない。
・幸せな人生を送るには、いかにストレスを減らすかが重要。そのために何かから「降りる」勇気を持て。
・仕事や家庭生活など、本当に大切なことだけキチンとこなしていれば問題ない。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
(写真=iStock.com)
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