既存MNOも含めて、鉄塔などのインフラを保有する事業者との協業で、基地局設置に伴うコストを大幅に削減することは想定しているであろうし、現に電力会社との連携も発表している。資本市場及び消費者が期待しないことには、結果として楽天の資金調達は困難となる。

販売チャネルとしては楽天市場をフルに活用するだろうし、楽天の得意とするポイント事業や金融事業も絡めて、多彩な料金プランを投入するであろう。

第四のMNOとして楽天が地位を築けば、市場の競争は激しくなり、結果として料金水準は低下していく。だからこそ、料金の値下がりを期待するのであれば、まずは彼らの成功に期待するしかない。

携帯電話の「価格」を疑え

では本当に楽天は消費者の見方になりうるのだろうか? 結局、寡占化を招いて携帯電話代を高止まりされてしまうのではないだろうか?

消費者、あるいは当局の立場としては以後、下記の二点を注視し、常にその価格に疑いの目を向けてほしい。

1.結果として寡占体制に戻るリスク

既存のMNOが、万が一M&Aによって楽天を買収したとしても、楽天が獲得した1.7GHzの周波数帯を、既存のMNOは獲得することはできない。すなわち大が小を飲み込むことはできないのである。

ところが楽天は、既存のMNOを買収できる。1.7GHzの周波数付与条件に、ある意味では総務省は「穴」をあけてしまったのだ。

本当にM&Aをするとなれば、金額は数兆円規模となるが、かつてソフトバンクがボーダフォンを買収したときに採用したLBO(買収先のキャッシュフローを担保とした融資)を活用すれば、可能性はゼロではない。