JX通信社のライバルは共同や時事

【田原】いま米重さんがやっていらっしゃるのはBtoBですが、BtoCはやらないんですか。

【米重】自社でも「ニュースダイジェスト」という一般向けのニュース速報アプリをやっています。これは無料で、広告で収益をあげるモデル。17年の夏から自社の広告営業を始めて、コンスタントに売り上げがあがるようになってきました。ダウンロード数が約100万で、個人で使ってくださっているジャーナリストの方も多いです。

【田原】JX通信社自体がメディアを持つと、新聞やテレビに対する裏切りにはならない?

【米重】ニュース配信を行う共同通信や時事通信も、自前のWebで発信していますから、同じことではないでしょうか。積極的に発信してJX通信社を広く認知してもらえたら、そのぶん私たちのところに寄せていただける情報も増えるはず。そこは必要なステップだととらえています。

【田原】そうか、JX通信社のライバルは共同や時事ですね。

【米重】既存の報道機関の業務を、いかに機械化して再現できるのかが勝負です。私たちは記者もいないし支局もないですが、より速くニュースを届けることができる。そんな通信社を目指しています。

米重さんから田原さんへの質問

Q. 権力に盾突く発言。リスクはありませんか?

ジャーナリストとして身の危険を感じたことはないです。街宣車がきたこともあったけど、表に出て、「ここで話しても仕方ないから、親分と話す。電話番号教えて」と言ったら教えてくれましてね。すぐ電話して、後日、九段会館で街宣車200台対僕1人で2時間半の討論会をやりました。最後は「考え方は違うが、国を思う心は同じ」と握手攻めにあった。

ウソをつかないこと、そして総理大臣以外は欠席裁判しないこと。この2つを守って真正面から話せば、意見が違っても存在を認めてもらえます。メディアも含めて、みんな見えない影に脅えすぎ。自主規制なんてしないで、もっと言いたいことを言ったほうがいいと思います。

田原総一朗の遺言:自主規制なんていらない!

(構成=村上 敬 撮影=枦木 功)
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