当初、市職員は民間コラボに積極的ではなかった

千葉市は首都圏にあってビジネスチャンスに恵まれた環境。それを活かし、民間企業とともにいくつもの事業を立ち上げて、大きな成果を挙げてきた。

国の特別史跡に指定された加曽利貝塚。縄文文化を体験できる日本最大級の貝塚遺跡。

「これから千葉競輪場を国際レースが開催可能な多目的アリーナとして建て替える予定です。これには運営委託する民間企業に70億円の建設費を負担してもらいます。また、稲毛海浜公園のビーチも、市で白い砂浜を作りウッドデッキを設置するというインフラは整備しますが、その場所で民間企業にビジネスをしてもらい、長期的な維持コストを下げる計画です」

官民がWin-Winとなるコストカットの手法。しかし、就任当時、市の職員は民間とのコラボに積極的ではなく、抜本的な意識改革が必要だったという。

取材時には国政で財務省職員による公文書改ざんが発覚した。この問題が地方に与える影響についても聞いた。

「私にとってもショッキングなニュースでした。取り戻しつつあった公務員に対する信頼が損なわれたわけですから。行政を預かるということは未来に対する責任があるわけで、歴史に恥じる行為をしてはならないと思います」

公務員のモラルが問われている今、公務員志望者に伝えたいことは何か。

「純粋に社会づくりに関わりたいのであれば、『国家公務員より地方公務員という選択もあるよ』と言いたい。今こそ地方に来てほしいですね。自治体の行政には目の前の人を助けられるという充実感があります。私もそれが楽しくてこの千葉市を選んだのですから」

熊谷俊人(くまがい・としひと)
千葉市長
2001年NTTコミュニケーションズ入社。07年千葉市議会議員選挙に立候補し当選。09年千葉市長選挙に立候補。千葉市長選歴代最多票で当選。13年千葉市長選挙に立候補し当選。2期目に入る。17年千葉市長選挙に立候補し当選。3期目に入る。
(人物撮影=小倉和徳)
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