初期投資0円の「インスタ起業」に成功した24歳がいる。扱ったテーマは「古着」。古着を着る女の子のポートレート写真がずらりと並べることで、アカウント開設から5カ月で10万以上のフォロワーを集めた。モデル、カメラマン、投資家などすべてをSNS経由で集め、3年後に「年商5億円」を目指す規模に成長しつつある。「インスタ起業」の全容を公開しよう――。

7カ月前に初期投資0円で立ち上げ、早くも年商5億目指す

インスタグラム(インスタ)を使って、0円での起業に成功したアカウントがある。アカウント名は「古着女子」。昨年11月29日の開設以来、5カ月でフォロワー数は10万人を超えた。運営しているのは株式会社yutori(神奈川県横浜市)の代表・片石貴展(たかのり)さん。現在24歳で、今年3月まではITベンチャーで新規メディアの立ち上げ事業を担当していた。

yutori代表の片石貴展さん。24歳。

昨年11月、副業として「古着女子」を始め、軌道に乗り始めた3月に退職。4月に会社を立ち上げ、5月にはエンジェル投資家からの資金調達に成功した(調達額は非公開)。6月にはECサイトをオープン。試験的に20着ほど女性用古着を出品したところ、ほとんどのアイテムが3分以内に売れたという。

片石さんが「インスタ起業」をするまで、ITベンチャーで朝から晩まで世の中のインフルエンサー(SNSにフォロワーが大勢いて発言に影響力を持つ人物)を探す仕事をしていた。そのときの経験が役だったという。

「インスタは画像がメインのSNSなので、『盛った自分』を演出できます。そこが面白く、この特性を利用すれば、ビジネスができるんじゃないか、と前々から考えていました」(片石さん)

▼なぜ、女性向けの「古着」に目を付けたのか?

「忖度」と並び、昨年の新語・流行語大賞になった「インスタ映え」。インスタへの投稿画像は演出を加えるのが大前提だ。たとえば、モノが散乱した「汚部屋」に住んでいても、テーブルの隅だけを片付け、そこに素敵な物を置いて撮影すれば、あたかもおしゃれな暮らしを送っているかのように見せることができる。ファッションとインスタの相性の良さに片石さんはいち早く気づいていたのだ。

インスタと同様に、今後さらに盛り上がると片石さんが確信したものが「古着」だった。

最新のトレンドにはないデザイン。何年も前から大切に着られた味わい深さ。そうしたスタイルに、人とは違うファッションをしたい若い女性が熱狂しているのだ。実は、こうした古着は「1点物」なので、雑誌で紹介されるケースが少なく、みな「情報」に飢えている。片石さんはそこに商機があると感じていたという。