なぜ、たった5カ月でフォロワーが10万人を超えたか?

「古着女子」は、インスタ開設から現在までの約半年で、古着を着た女性の写真を1000点以上投稿している。顔はモザイクやトリミングで隠されていて、見られるのはコーディネートだけだ。意図的に顔を隠すことで、純粋にファッションを楽しみたいという人に刺さった。「顔という情報がないからこそ、本当に古着が好きな人だけが見に来るようになったんです」(片石さん)。

インスタ「古着女子」に掲載されている、一般女性の古着着用の写真。「古着女子」https://www.instagram.com/furuzyo/

掲載している写真のうち、片石さんが撮ったものは1枚もない。すべてインスタ上で見つけた一般女性(10、20代中心)の写真なのだ。おしゃれな古着コーディネートの写真を見つけ、許可を取って転載している。許諾依頼のダイレクトメールには最初から「フォロワー数万以上のアカウントを目指します」と綴った。初日からいけると確信できていたからだ。

実際、開設当日に10枚ほどの画像を投稿したところ、その日のうちにフォロワーが500人を超えた。勢いは止まらず、12月に3万、翌年5月には10万を超え、画像への「いいね」は平均3500件以上も付く人気アカウントになった。

 
▼アカウントは、テレビや雑誌と同じ「メディア」

片石さんは最初から自分自身の個人的なアカウントではなく、「古着女子」というブランドで投稿した。それは「投稿内容はまとまりがあったほうがいい」と感じたからだ。

インスタで発信する人の多くは「今日食べた美味しい料理」「今日行ったパーティー」「街で見かけた可愛い犬」など、ちょっとおしゃれで楽しそうな日常の風景をとりとめもなく流してしまう、しかし、それではアカウントとしてまとまりがない。よほどの有名人でもない限り、フォロワー増にはつながらない。

「古着女子」では徹底して、顔を隠した古着コーディネート画像しか投稿しない。ECストアなどのイベントのアナウンスは、インスタ内の機能である「ストーリー」で流す。「ストーリー」はインスタの画像一覧には表示されず、アカウントのアイコンをクリックした人だけが見ることができるもの。情報の出し方を使い分けるのは、インスタの画面では洋服の画像だけが続くようにしたいからだ。「古着女子」のフォロワーは、着こなしの参考になるおしゃれな画像をみにきている。それでファンが増えているのだから、そこは崩さない。

「古着女子」に掲載されることは、古着好きな女性たちの中でステータスになりつつある。雑誌の「おしゃれスナップ」に掲載されるのと同じく、おしゃれだと認められた勲章のように感じるのかもしれない。