なぜ、インスタで「0円起業」を実現できたのか?

「メディア」としての「古着女子」が成長を続けるなかで、片石さんはフォロワー10万人以上のアカウントに育てるためにまめに動いた。

前述したように、インスタで古着の着こなしが上手な女性を探し、彼女たちに掲載の許諾を取る。この作業を何百人にし続けたのだ。「僕も古着が好きだったからこそできたことです」と彼は言う。

3月にはイベント会場を借りて「FURUGI FES」を開催し、300人がタレントによる古着即売会やトークショーを楽しんだ。

主催した「FURUGI FES」でのひとコマ

ECサイトの制作スタッフは「古着女子」のストーリーで呼びかけて集めた。イラストレーターやモデル撮影時のカメラマン、ヘアメイクもインスタの呼びかけに応じた人たちだ。特に、モデルの募集には100人以上の応募があった。集まったスタッフとは大好きな古着の話で盛り上がることもでき、「古着女子」がメディアだけでなく、コミュニティとしても育ちつつあるのを実感している。

▼出資者、カメラマン、モデル……すべてSNSで探した

これまで片石さんがインスタに投じたお金は0円。なんと初期投資ゼロで10万フォロワーのメディアを育てたのだ。今後はECストアでの販売収入を増やせればと考えている。

この6月5日、インスタの運営会社は米国で展開していた「ショッピング機能」を日本にも導入すると発表した。「古着女子」ユーザーは古着好きな女性がほとんど。片石さんは、画面からダイレクトに販売できるこの機能は大きなチャンスだと感じている。

片石さんは出資者もSNSで探している。古着の仕入れやスタッフ増員などの運転資金が必要だったため、エンジェル投資家をネットで検索し、ファッションに理解があり、事業に賛同してもらえそうな投資家にフェイスブックを通じて出資を依頼した。これまでに3人の個人投資家からの出資を受けて、3年後に衣類販売で5億円の年商とすることを目指している。