「世界で最もヤバい起業家」と呼ばれるピーター・ティール。決済サービス「ペイパル」創業者で、同社からはイーロン・マス(スペースX)、リード・ホフマン(リンクトイン)ら名だたる起業家が次々と世に出ました。今回はティールがスタートアップを立ち上げる際に重要だとする「10カ条」を紹介します。「起業に秘訣はない」と言うティールが、それでも重視するポイントとは――。(第3回)

※本稿は、トーマス・ラッポルト『ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望』(赤坂桃子訳、飛鳥新社)を再編集したものです。

ピーター・ティールの近影(c)Manuel Braun

スタートアップの10か条

ピーター・ティールの成功に秘訣はない。『ゼロ・トゥ・ワン』の冒頭で彼はすぐにそのことに詳しく触れている。

「僕は起業には多くのパターンがあることに気づいたけれど、この本は成功の方程式を紹介してはいません。起業について教える際のパラドックスは、そんな方程式はそもそも存在しないということです。どんなイノベーションも新規で唯一無二で、どうしたらイノベーティブになれるか具体的に教えられる専門家などいないからです。でも僕が気づいた強力なパターンが一つだけあって、それは、成功者は思いがけない場所に価値を見出し、方程式でなく第一原理からビジネスを考えるということです」

ティールは、すばらしい企業はつねにその背景に「秘密」があると考える。ページランクのアルゴリズムを公開していないグーグルや、レシピを極秘としているコカコーラは、その第一原理に秘密が隠されている大企業のいい事例だ。

ティールによれば成功するスタートアップのカギは、「唯一無二であること」「秘密」そして「デジタル市場で独占的ポジションを確保していること」である。

彼はインタビューで、スタートアップを成功に導くためのルールについて述べている。

その1:きみは自分の人生の起業家である

自分の人生に優先順位をつけるのはきみだ。自分の人生をどうやってはじめるのかという根本的な決定を下す自由は、きみの手の中にある。

その2:1つのことを、他の人を寄せつけないほどうまくやろう

スタートアップでもっとも重要なのは、テクノロジーはグローバルなビジネスだという認識である。本当にすぐれたテクノロジー企業には、世界中の他のどの企業よりすぐれた力を発揮できる何らかの強みがある。そうしたポジションを手に入れなければならない。