森友、加計、日報隠し、セクハラ問題……

これはもう政権の末期症状だろう。空転続きの国会のことである。火の手は安倍晋三首相から名指しで報道姿勢を批判された朝日新聞から上がった。森友学園への国有地売却問題で、国会に提示された財務省の決裁文書に書き換えがあったことをスクープしたのだ。鑑定価格をはるかに下回る破格の値段で国有地が払い下げられた経緯について、「価格を提示したこともなければ、いくらで買いたいと言われたこともない」と財務省は説明してきた。ところが、朝日の記事では当時の決裁文書には「価格提示を行う」などの記載があって、これが書き換えられた疑いがあるという。政府は「書き換えはない」と撥ねつけた。ところが当の財務省が「書き換え」を認めたために、安倍政権は一気に窮地に陥った。事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返してきた佐川宣寿前国税庁長官(財務省前理財局長)は辞任に追い込まれ、財務省は森友学園に約8億円の値引きを正当化するための口裏合わせを依頼していたことまで認めている。

不祥事は支持率にボディーブローのように効いていく(安倍首相と麻生太郎財務相)。(AFLO=写真)

一方、首相が「与り知らない」で押し通してきた加計学園の獣医学部新設問題にも再び火がついた。獣医学部誘致を進めてきた愛媛県や今治市の担当職員は国家戦略特区に申請する以前の2015年4月に首相官邸で政府関係者に面会している。このときに愛媛県職員が作成した記録文書が存在し、政府側の出席者である柳瀬唯夫首相秘書官(現在は経済産業審議官)が「本件は首相案件」と述べたことが記されていると、これまた朝日新聞が報じたのだ。柳瀬氏は面会を否定しているが愛媛県の中村時広知事は自らヒアリングして「首相案件」文書の存在を確認したと明言し、同様の文書が獣医師行政を所管する農林水産省でも見つかった。柳瀬氏の嘘は明らかだ。