現状は「疑惑のもぐらたたき」
自民党幹部が「結党以来最大の危機」と苦虫をかみつぶすように語る。
それぐらい、今の安倍政権は悲惨な状況に直面している。昨年からくすぶり続きながら一向に収束に向かわない「森友」「加計」問題に加え、財務次官によるセクハラ問題。立憲民主党の辻元清美国対委員長は現状を「疑惑のもぐらたたき」と言いあてている。
安倍政権と自民党にとって最悪の時期が続いているが、にもかかわらず6月の国会会期末に「衆院解散・総選挙」説が出始めている。はた目から見たら負けることは確実と思われる衆院解散論。どうして出るのか。
「3割を割れば危険水域」と言われる
最近、内閣支持率は右肩下がりで急落している。20、21日に行われた毎日新聞の世論調査では30%。20~22日に行った読売新聞のデータが39%。13日から15日の間に行われたNNNの調査は26.7%だった。「3割を割れば危険水域」と言われる。
実際、これまでの政界では、3割を割り込んだところで政権内部から退陣論が出てきたものだ。2006年に誕生した第1次安倍政権でも07年になって「消えた年金」問題などが浮上して支持が3割前後になってから、再浮上はかなわなかった。
今の内閣支持率は当時と単純比較できない面がある。従来の世論調査は、家庭にある固定電話のみを対象としてきた。しかし、生活習慣が変わり携帯電話のみで生活する人が増えたことを考慮。昨年あたりから固定電話だけでなく携帯電話も調査対象とする社が増えている。
「自爆テロだ」と悲痛な叫び
今、若者の保守化が指摘されており、20代、30代は自民党支持層が多い。「携帯だけ」で生活する人は若い世代が多いので、必然的に自民党支持層が高めに出る傾向がある。言い換えれば、昨年までの「固定電話のみ」で調査していたら、内閣支持率はもっと低かったことになる。20%台前半の数字が続出していたかもしれない。
そういう意味では安倍晋三首相は調査方法の変化で救われていることになるが、現状が深刻であることに変わりない。
それなのに、衆院解散論である。常識的には自殺行為。自民党若手議員からは「自爆テロだ」と悲痛な叫びが聞こえてくる。