「出されれば解散も内閣のひとつの選択肢だろう」

そうしたなかで、4月25日、自民党の森山裕国対委員長が、記者団から内閣不信任案への対応を聞かれ、「出されれば解散も内閣のひとつの選択肢だろう」と述べたことが、永田町に波紋を広げてもいる。衆院解散・総選挙の可能性に言及した、という見方ができるからだ。森山氏は「不信任案の提出は野党の権限。われわれがとやかく申し上げる立場にない」とクギを刺したが、「ひとつの選択肢」という言葉の意味は重い。

肝心の安倍首相は今のところ、解散に向けて明確な意思表示はしていない。彼が描く「9月の自民党総裁選で3選を果たし、悲願の憲法改正を実現して2020年の東京五輪・パラリンピックは首相として迎える」というシナリオ通りに進むのであれば、わざわざ解散に打って出ることはないだろう。

ただ、安倍首相が「3選が難しい」と判断したらどうなるか。最近マスコミが行う世論調査の「次の総裁にふさわしい人物は」との問いでは、安倍首相は石破茂元党幹事長、小泉進次郎党筆頭副幹事長の後塵を拝することが増えている。党内では「安倍氏は総裁選に出ず、不戦敗を目指すのではないか」という観測さえ日々高まっている。

今のままでは3選できない、と見切った時、安倍首相が伝家の宝刀を抜く可能性が出てくる。解散して多数を維持すれば、安倍政権が信任されたことになり、総裁選で無投票当選となる道筋が広がるのだ。

求心力を失った首相が衆院解散をすることなどできない、と一笑に付す向きもある。ただし、解散権を持つのは安倍首相1人であることも忘れてはならない。2005年の郵政解散の時も「解散などできるはずがない」が自民党内の大勢だった。しかし小泉氏は反対する閣僚を罷免して解散に踏み切った。同じドラマがことし繰り広げられる確率はゼロではないのである。