気分屋同士が繰り広げる、つば迫り合い

2018年6月12日、シンガポールで予定されていた史上初の米朝首脳会談がすったもんだの末に、結局開催される見通しとなった。日程が決まった後も米韓合同軍事演習やトランプ政権の一方的な核廃棄要求に反発した北朝鮮が会談のキャンセルを示唆したり、逆に中国の影響を嫌ったトランプ大統領が延期をほのめかしたりするなど駆け引きが続いてきたが、ついにはトランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長宛に「現時点で会談を開くのは適切ではない」との書簡を送ったという。前言を簡単に翻す両首脳の性格を含めて米朝首脳会談の実現に至る変数は相当多いと思っていたから、再開催が発表されたのは想定内ではある。

訪朝したポンぺオ米国務長官と握手を交わす金正恩委員長(18年5月9日)。(AFLO=写真)

トランプ大統領の最大の関心事は秋の中間選挙だ。米朝首脳会談でアメリカにメリットがある“ディール”を取りまとめれば中間選挙のいいアピールになる。北朝鮮が態度を硬化させて会談を拒否すれば、トランプ大統領に対北先制攻撃である「鼻血作戦」を発動する口実を与えることになりかねない。