サンドイッチに対する嗜好が、日本人と欧米人とで大きく異なることも影響していると考えられる。サブウェイは欧米人が好む長楕円形のパンのサンドイッチを提供しているが、日本人が慣れ親しんでいるのは食パンのサンドイッチだ。

日本サブウェイも、日本人の味覚に合った独自メニューを開発・販売してはいるものの、さすがに食パンのサンドイッチは販売していない。それではコンビニとの競争に埋没してしまうと考えているのだろう。だがそもそも日本では、欧米に比べて「外食でサンドイッチを食べる」という発想が乏しい。さらになじみのないパンでは、客足は遠ざかってしまう。

「野菜たっぷり」はもはや珍しくない

強みである「野菜のサブウェイ」の訴求力が落ちていることも、苦戦の大きな原因だろう。これにも、コンビニの存在が大きく影響している。近年、コンビニ各社は、野菜が多く入った食品やサラダの品ぞろえを強化している。

たとえば、ローソンはサラダの品ぞろえを充実させた。2017年2月に一部地域で試験的にサラダの品ぞろえを従来の約1.5倍の26種類に増やしたところ、1日1店舗あたりの平均売上高が前年比で5割増えたというのが、そのきっかけのひとつだ。セブン-イレブンやファミリーマートも、同様の動きを見せている。

飲食店でも、野菜が多く入ったメニューが充実してきている。「野菜たっぷり」と銘打ったメニューをよく見かけるようになっていないだろうか。ヘルシーなイメージとは縁遠い吉野家でさえ、肉を一切使わない「ベジ丼」を発売したくらいだ。

こうした動きによって、サブウェイの「野菜が食べられる」という訴求力は、当然相対的に弱まってきた。

こういった要素が折り重なり、サブウェイは日本でははやらず苦戦を強いられていると筆者は考えている。現在も不採算店の閉鎖が続いているが、新機軸を打ち出すことができなければV字回復は望めないだろう。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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