これらが人気と出店攻勢の源泉となり、店舗数は10年から14年で倍増した。しかし、14年を境に伸びが止まり、以降は不採算店を中心に店舗の閉鎖を進め、減少の一途をたどる。今もこの流れは止まらない。

サントリーHDはサブウェイを見限ったのか、日本サブウェイの株式すべてを放出した。フランチャイズ契約が切れた16年4月に、世界のチェーンを統括する本社「サブウェイインターナショナルグループ(オランダ)」に、日本サブウェイの株式の65%を売却した。18年3月には、残りの株式もすべて同社に売却している。以後は、本社主導で再建を図る考えだ。

コンビニおにぎりに便利さでかなわない

世界一の店舗数を誇るサブウェイが、なぜ日本で苦戦しているのか。筆者はコンビニエンスストアの存在が大きく影響していると考えている。

海外で始まったコンビニは、日本で大きく進化した。多くの訪日外国人が、その利便性の高さや品ぞろえの充実ぶりに驚くという。「日本のコンビニがすごい」というネタは、しばしば海外のメディアで報じられたり、インターネット上の掲示板で話題に上ったりする。海外に行くとわかるが、たしかに日本のコンビニの充実度は群を抜いているといえるだろう。

言うまでもないが、日本のコンビニではサンドイッチも充実している。そのため、「サンドイッチ」というと多くの人がコンビニで販売しているものを想像してしまう。そうなると、サブウェイのサンドイッチの価格の高さが際立ってくる。一般的なコンビニのサンドイッチの価格は200~300円程度だが、サブウェイは300~600円と、より高額だからだ。もちろん、具などの内容が異なるため、本来は単純比較できないものだ。しかし、価格帯だけで両者を比べて判断する人は少なくないだろう。そうした人たちが、「サンドイッチを食べよう」と思った時に、「サブウェイは高いからやめて、コンビニにしよう」となっているケースが考えられる。

また、コンビニのおにぎりや弁当もサブウェイから客を奪っているといえるだろう。サンドイッチの魅力のひとつは、手軽に食べられることだ。だが、おにぎりや弁当もそれは同じ。また、サブウェイの場合、パンやトッピングを自分で選んでオーダーできるという特徴が、逆に「めんどくさい」というハードルにもなってしまう。手軽に食事を済ませたければ、わざわざサブウェイであれこれ選んで高いサンドイッチを買うのではなく、コンビニでおにぎりや弁当を買う――これはコンビニが発達している日本ならではだろう。