離婚は「隠す」と「暴く」の情報戦
弁護士として、これまで多くの離婚案件に関わってきたが、資産家や裕福な家庭はそもそも離婚しないか、するとしてもそれほど揉めないことが多い。揉めるケースの多くは、資産や年収がそれほど高くない人だ。限りある資産を取り合うことになり、お互い「自分の財産は隠し、相手の財産は暴こう」として、長く時間がかかる。離婚は「情報戦」。知識と情報を持つ者が圧倒的に有利であることを肝に銘ずる必要がある。
離婚することを決めたら、未成年の子どもの親権に加え、養育費、面会交流などを離婚時までに決めたほうがよい。最近は晩婚化、晩産化が進んでいるので、熟年離婚とはいえ子どもの親権等を争うケースが増えている。夫が親権を取るのは非常に難しいため、どの程度の面会交流を希望するかで、養育費や財産分与で譲歩するレベルが決まることも多い。
養育費には相場があり、双方の年収や子どもの人数、年齢に応じて、多くの家庭裁判所が採用している養育費算定表を目安に毎月の額が決められる。離婚時に取り決めた養育費を離婚後に変更することは可能で、離婚時よりも収入が減った場合には減額できる。ただし、もし破産しても、養育費の支払いは免除されない。
次に決めるのは慰謝料と財産分与。これらは両方合わせて「解決金」として落としどころを決めることも多い。慰謝料が発生するのは、主にDVが認められた場合や不貞行為があった場合だ。ただ、裁判時には確実な証拠を出さなくてはならず、病院や興信所などの費用がかなりかかるため、わりに合わないこともある。