出来上がったものを突然公開・発表する先進企業

アメリカのマサチューセッツ州に拠点を置く「ボストン・ダイナミクス」というロボットの研究開発をする会社がある。人型ロボットの「アトラス」がバク宙をする映像が2017年11月に公開されたので、見た人も多いかもしれない。

ボストン・ダイナミクスが開発した、アトラス(左)とビッグドッグ(右)。(AFLO=写真)

ボストン・ダイナミクスは、アトラスをはじめ、倒れても起き上がる「ビッグドッグ」や、部屋を自由に動き回り、空き缶をつかんだりする機能を持つ「スポットミニ」のようなロボットを開発している。

ボストン・ダイナミクスは、「私たちはこのようなロボットを作る」というような目標を言い立てない。ただ、ロボットを開発して、出来上がった「作品」を、いきなりネット上に公開するのだ。

このような、開発途中では何も言わないで、出来上がってから初めて公開するというやり方は、現代の先端技術開発に関わる「できる人」たちの共通のやり方のようだ。

例えば、今や世間で熱い注目を浴びる「ビットコイン」などの仮想通貨の元となった「ブロックチェーン」技術の考え方は、ネット上に「サトシ・ナカモト」の名前でいきなり発表された。

グーグルをはじめとする企業による自動運転技術の開発も、「こういうものを作ります」とPRするよりは、出来上がったものを突然動画で公開するのが主流のスタイルになっている。

テクノロジーは、「作ります」と言っていても仕方がない。実装して初めて価値がわかる。最先端の技術に関わる人たちの間では、「目標」をあれこれと言うのはダサく、とにかく作り、公開してナンボという風潮があるようだ。

「できる人」になりたかったら、目標はぐっとのみ込んで、胸の中で温めておくのがいい。

「これをやります」と口にして満足するのではなく、完成して初めて他人に言う。そんなストイックな姿勢が現代におけるスターを生み出す。

(撮影=横溝浩孝 写真=AFLO、iStock.com)
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