日本が2017年に輸入した原油の輸入金額は7兆1506億円で前年比29.3%増、天然ガス(LNG)の輸入金額は3兆9154億円で19.3%増だった。実は、昨年の原油輸入量は減少、天然ガスは横ばいで、価格上昇が輸入額を跳ね上げた。昨年末から市況の上昇が顕著になっている。2018年はエネルギーコストが跳ね上がりそうだ。

日本のエネルギーコストが跳ね上がった

財務省貿易統計(速報)によると、日本が2017年の1年間に輸入した原油の輸入金額は7兆1506億円と前年比約1兆6000億円増加(29.3%増)した。前年比でプラスに転じたのは2013年以来、4年ぶり。また、液化天然ガス(LNG)の輸入金額も6300億円増加(19.3%増)し、3年ぶりに前年比プラスに転じた。どちらも主因は輸入単価の上昇によるもので、昨年暮れから市況の上昇傾向が顕著になっている。2018年はエネルギーコストの増大が一段と鮮明化しそうだ。

昨年の原油輸入量は1億8672万KLと前年比4.1%減少した。LNGの輸入量は8363万t(0.4%増)とほぼ横ばいにとどまった。輸入単価は原油がKL当たり2016年の2万8425円から2017年は3万8294円と約35%上昇、LNGはトン当たり3万9376円から4万6817円と19%高くなった。日本のLNGの主な買い主は、輸入量の大半をターム(短・中・長期)契約で購入しており、その値決めには伝統的に原油市況連動方式を採用している。昨年秋以降、大幅に値上がりした原油市況がLNG輸入単価を押し上げる構造になっている。

原油価格は3年ぶりの高値圏

原油価格(米国産WTI原油先物価格)は昨年秋以降、1.5倍に値上がりしている。2014年以降の原油先物価格のチャートを見ると、昨年秋まではおおむね下値は1バレル40ドル程度、上値は55ドル程度のボックス相場となっていた。それが、この冬は上値のフシを一気に突き破り、直近では64ドル台まで上昇している。

市況のトレンドが変化してきた背景には、原油市場の需給改善と、金融要因が指摘されている。需給については、昨年11月にロシア・OPEC(石油輸出国機構)による協調減産の継続(2018年末まで)が決まり、世界的にだぶついていた原油在庫の適正化が進むとの見方が広がったことが挙げられる。また、昨年は中国の原油輸入の増加が目立ったが、その背景にある世界景気拡大に伴うエネルギー需要見通しの上方修正も、売り手を強気にさせている。

金融要因も見逃せない。世界の主要株式市場が軒並み高値を更新する中、投資家の投資余力が高まっており、商品先物市場にも投資マネーが流入している。米原油WTI先物取引では、買い越し残高が過去最高レベルに積み上がってきている。