「都民ファーストの会」の公認候補として当選するも、小池百合子都知事への批判を強める音喜多駿・東京都議。文筆家の古谷経衡氏は、音喜多都議を「最も嫌いな政治家」と断じ、「三枚舌」と名指しする。その理由とは――。

離党は衆院選挙の公示日直前だった

これほどまでにテレビメディアに露出する地方議員も珍しい。東京都議の音喜多である。音喜多は当選2回。1度目は北区選出のみんなの党公認として。2度目は同区から都民ファーストの会公認候補として。そして現在では都民ファーストから遁走した「脱藩者」として小池百合子批判の急先鋒とみなされている。

1983年生まれの音喜多は、私と同世代。20代後半で都議会議員になるのはやや早熟だが、地方議会で30代前半での2選は決して珍しい部類ではない。よって都民ファーストと小池がいなければ、テレビに露出する現在の音喜多はいない。

東京都議の音喜多氏(時事通信フォト=写真)

音喜多の都民ファーストからの離党は先の衆院選挙の公示日直前。わざわざこの時期を選んだのは、単にテレビに出たいからではないかという私の邪推に、AbemaTVの番組で同席した彼は、満足な回答を用意できなかった。

音喜多は「当初想定していた小池と都民ファーストの会が違う方向に行ったから」と抗弁したが、歯切れはあまりにも悪い。都議選からわずか4カ月とたたず上田令子都議(江戸川区)と共に離党。話題に飢えていた公示日直前のテレビは、その時期に離党した音喜多に殺到した。BPOや「政治的公平性」を慮って公示中の報道合戦を控えがちなテレビメディアの近年の特性を計算した、見事な離党のタイミングだ。

「自身のライバル」は小泉進次郎衆院議員

音喜多と前述の番組で同席した際、自身のライバルとして真っ先に小泉進次郎を挙げたことに私は閉口してしまった。腐っても元総理の息子で国会議員の進次郎と当選2回にすぎない都議の自分を同列にとらえるのは、自意識過剰、舞い上がりすぎだ。この一件からしても、音喜多の心中の願望にも似た露出欲、承認欲求を感じる。