まずは「地域包括支援センター」に相談を

もちろん、そんな切迫した事態にならないのが1番。たとえばこのケースでは、「地域包括支援センター(高齢者総合相談センター)」に相談するのが正解だ。

地域包括支援センターとは、65歳以上の高齢者の困りごとに応じてくれる「よろず相談所」のようなもの。各市区町村に配置され、地域の高齢者の心身の健康状態の維持や、保健福祉医療の向上、生活安定に必要な援助を包括的に行う。相談すれば、必要に応じた保健・福祉サービスが受けられるよう、市区町村や関係機関との連絡調整を行ってくれる。

両親の要介護度が違う場合、基本的には同じ施設には入れないが、比較的基準の緩い施設もある。一度相談してみる価値はあるだろう。

また、にっちもさっちもいかない状態になってからだと、よく調べもせずに施設を選ぶことになる。介護施設は基本的には「シェアハウス」のようなもの。保育園のようだとも言える。

外からの来客が多く、レクリエーションが頻繁にあるような賑やかな施設もあれば、イベントの少ない静かな施設もある。どちらがいいかは、親の性格次第だ。早めに動けば、「親を施設に預けてしまった」と自分を責めずに済むような、理想的な施設が見つかるだろう。

黒田 尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力。
(写真=iStock.com)
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