お金さえあれば、人生は安泰なのか。もちろん、そんなことはない。雑誌「プレジデント」(2017年6月12日号)の特集「お金に困らない生き方」では、人生の後半戦にやってくる5つの「爆弾」への備え方を解説した。第3回は「新手の詐欺」について――。(全5回)

妻に手を上げたら、悪徳業者の思う壺に

近年目立つのが、心の隙間に忍び寄る悪徳商法です。様々な隠れ蓑を被って、奥さんや年老いた親に近づきます。

例えば、奥さん方がよく利用する健康食品や教育教材(自己啓発系、投資や起業などの教材)などのインターネット通販もその代表格。1度頼むと住所、電話番号、家族構成、カードの口座、銀行の口座まで、すべての情報が知られてしまいます。

もちろん、通販会社がすべて悪徳業者につながっているわけではないですが、たちの悪い業者に引っかかると、そのリストが振り込め詐欺などの組織犯罪グループに横流しされてしまう。

実際、数年前に買った教育教材の会社を名乗る人物が電話をかけてきて、「未払い金があるから払え。払わないとおまえの家まで押しかけるぞ」と凄んだという実例があります。

普通は警察に言えばいいじゃないか、と思いますが、逃げたい一心で払い続けてしまう高齢の女性も。息子や娘とは疎遠で、相談すると怒られるので、言わずに我慢してしまう人さえいる。

被害に遭いやすいのは、資産はあるけど寂しい奥さんや、社会的地位の高い人の奥さん。教育教材を買って、講師の先生と仲良くなるうちに洗脳され、いつの間にか旦那から心が離れてしまう。旦那のほうは、浮気に浪費で家庭を放ったらかす妻に激高し、つい手が出てしまう。相手の思う壺です。業者についている弁護士が「待っていました」と動き出し、裁判所から接見禁止命令を出させて、奥さんを囲い込んでしまいます。

要は、旦那が暴力を振るう状況に追い込み、親身になって相談に乗るフリをしながら、いつの間にか法的に財産をせしめる。最悪の場合、全財産を根こそぎ。4億円やられた事例もあります。運がよくても、離婚の際の財産分与で半分は持っていかれます。

特定記録郵便で郵便受けに配達された銀行の明細や保険証を盗んで、コピーしてまた郵便受けに入れ直す手法も。得た情報を基に、新たな特殊詐欺を行う。資産家が婚姻届を勝手に出されたりするケースもあります。