お金さえあれば、人生は安泰なのか。もちろん、そんなことはない。雑誌「プレジデント」(2017年6月12日号)の特集「お金に困らない生き方」では、人生の後半戦にやってくる5つの「爆弾」への備え方を解説した。第4回は「子が自立できない」について――。(全5回)

Fランク大“中退”働く気ゼロの息子

子どもを大学まで出したら、「子育て」はほぼ終了――。多くの親がそう考えているに違いない。あとは子ども本人が働いて独立してくれるだろう、と。だが、そうは問屋が卸さない“不出来”な子も少なくない。

30~50代世帯にとって住宅ローンとともに家計に重くのしかかるのが、子どもの教育費だろう。幼稚園・保育園から大学まで、授業料だけでなく、習い事代、塾・予備校費などがかかる。高校・大学が私立であれば、教育費の合計は軽く1000万円超だ。そこまで育て上げるのも大変なのに、あろうことか大学を出ても経済的自立できないことが珍しくない。

都内在住の女性Aさん(55歳)のひとり息子は現在大学7年生(26歳)。取得済み単位数から見て、卒業できる可能性はゼロに近い。授業はろくに受けず、バイトもせず、大学入学直後から始めたマリンスポーツばかりしている(だから就職活動もしない)。

いわゆるニートや大人の引きこもり家庭の家計相談も受けているファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんはこう語る。

「聞けば、息子さんが通っているのは(最底辺とされる)Fランク大学で、学費は年間130万円と私大文系にしては少し高め。取り組むスポーツに関して、本人は将来プロを目指しているそうですが、あてにできないと母親は言います。用品費、移動費などで年合計60万円かかる。それだけでこの7年間に1300万円超。浪人(予備校の寮費込みで年350万円)も1年しているので、計1700万円近い“教育費”がかかっています」

せっかくそんな大金をかけたのに履歴書に「大卒」と書けない。働く意欲はもともと低い。となると、ほぼ100%パラサイト……。この先も家に居座る息子の衣食住を支えなければならず、家計は逼迫するばかりだ。