お金さえあれば、人生は安泰なのか。もちろん、そんなことはない。雑誌「プレジデント」(2017年6月12日号)の特集「お金に困らない生き方」では、人生の後半戦にやってくる5つの「爆弾」への備え方を解説した。第5回は「親が倒れた」について――。(全5回)
こんなはずじゃ……暴力・暴言の事例も
超高齢化社会の到来がいわれ始めたのはかなり以前からですが、現在40代、50代の方で、若い頃から親の介護という事態を想定していた方は少数ではないでしょうか。
多くの方は「田舎の親、大丈夫かな?」と案じはするけれど、本人が「大丈夫だから」と言われるままに放置していた。ところがある日、実家近くの警察署から、「認知症で親御さんが外出先から自宅に戻れなくなった」という電話がきた――そういうパターンが多いですね。
以前から親と同居していた方であれば、認知症が徐々に進むとおのずと気が付きますから、症状の進行によるトラブルは少ないでしょう。何かの拍子に転倒して骨折したり、脳梗塞や脳内出血等、脳の病気が原因で入院し、その後遺症でマヒが残り家に戻ってくる、というケースが多いのではないかと思います。
突然介護が必要になると、まず気になるのは、やはりお金の問題でしょう。ただ、実際には介護保険制度がありますから、在宅介護でしたらそれほどお金はかかりません。通常だと月々5万円くらいで済みます。
介護保険の財源が厳しいので制度が改正され、当初は1割で済んでいた利用者負担が、年金収入や合計所得が多い方については2割になりました。それでも上限があって、3万8000円くらいに抑えられています。ほかにおむつ代等が発生したとしても、総額5万円程度という計算です。