解散・総選挙によって政治空白が生まれることは確かである。傍若無人な北朝鮮への対応は大丈夫なのだろうか。自民党の議員たちは「北朝鮮の問題は長期化する。だからいつ解散しても同じだ」と弁明する。しかし北朝鮮がここぞとばかりに大陸弾道弾(ICBM)などの弾道ミサイルを打ち込んでくる危険性はある。

毎日は「国民が見くびられている」

9月19日付の毎日社説は朝日社説以上に解散選挙を批判する。

「主権者たる国民への畏れなど、みじんも感じられない政治がまかり通ろうとしている」と書き出す。見出しも「国民が見くびられている」だ。

毎日社説は「首相の魂胆が透けて見えるのは、首相の所信表明演説や各党代表質問も行わずに解散する案が検討されていることだ」と「魂胆」「透けて見える」といった表現まで駆使して書く。

さらには「(加計学園や森友学園問題)を避けて解散に持ち込むのは、よほど疑惑を隠しておきたいからだろう。首相がそれでこの問題は忘れ去られると考えているのなら国民はなめられたものだ」と指摘する。この「なめられたものだ」は痛烈な批判である。

支持率に関しては「確かに内閣支持率は一時と比べて回復している。しかし、それは北朝鮮問題という対外的な危機感が現内閣への期待を生んでいるからに過ぎない。首相の努力の結果ではない」とまで書き、「首相は先月、改造内閣を『仕事人内閣』と自賛した。成果どころか、仕事の中身さえ国会で示す前に解散するということでもある」と批判する。

毎日社説の最後は「首相は米国から帰国後に最終決断するという。冒頭解散は国民不在の選択である」とお得意の「国民不在」という殺し文句を使って締めくくる。