ただ読売社説も「政府は、北朝鮮の新たな軍事挑発にも即応できる体制を常に維持し、1か月前後の『政治空白』の影響を最小化せねばならない」と政治的空白に言及しながら、それをできる限り小さく押さえ込むように主張はしている。
「外交上の努力」を小馬鹿にする産経
かたくなまでに保守を売り物にする産経の社説(9月18日付)は北朝鮮問題を取り上げた後、「どの政党、どのリーダーに、日本の命運や国民の生命と安全を託すべきか。目の前の脅威に対処しつつ、民意を問う意義は大きい。各党はその答えを国民に示し、論じ合う好機としてほしい」と読者に呼びかける。この呼びかけは分からないでもない。
だが読売同様に安倍政権の主張を鵜呑みにして評価し、擁護する姿勢には問題がある。
たとえば「自民党と公明党が支える安倍政権は、集団的自衛権の限定行使の容認を柱とする安全保障関連法を整備し、それに基づいて自衛隊を運用している。同盟国である米国も歓迎している」というところや「核・ミサイル戦力を放棄しない北朝鮮に対し、圧力を強める方針も堅持してきた」という指摘である。
野党に対しては「野党第一党の民進党は安保関連法は違憲だとし、廃止を唱えている。共産党は日米安保条約の廃棄も求めている。これらが具体的な解決策の提示にあたるといえるだろうか。外交努力の重要性を強調するのも、北朝鮮との対話が困難な状態では、抽象論の域を越えない」と厳しく批判する。
しかしながら「外交上の努力」を小馬鹿にしてはいないか。目には目を歯には歯を……では、北の挑発に負けるだけである。