新卒採用は後ろ倒しになったはずなのですが、実質的な活動の時期は変わってないどころか、早まっているとも言えるのです。当然早くから活動する学生の方が人事との出会いや会社や仕事を理解する機会が増えるので就活も優位になりますが、ただ無目的にインターンシップをしても意味がなく、就職活動が長期化になるだけです。

重要なのは「いかに社会を知るか」

以上を踏まえて、私がこれから就職活動を始める学生にアドバイスしたいことは、2つあります。つきなみですが、「目の前のことに一生懸命に取り組む」ことと、「社会を知る」ことです。

インターンシップに参加するから、部活やサークル、授業、研究、アルバイト、ボランティア、旅、趣味といった学生時代の自由な時間がたくさんあるからこそできることをやらないというのは、個人的にはもったいないと思います。経験や体験、人との出会い、違う価値観や考え方に気づくことによって人は成長していきます。

インターンシップでも学生時代だからできる経験でも、なんでもいいので、一生懸命に取り組んでいくことが大切だと思います。その中で、目標設定をすること、やりきること、周囲との協力をすること、チームワークを発揮すること、自分の思いを発信することといった社会に出てから求められる力に気づくことが可能です。

もう一つは、就職活動を行い、社会に出ていくなら、社会の成り立ちや仕事の流れを知ったほうがいいということ。学生と社会人ではそもそも異なることがたくさんあります。消費者から生産者になること。お金を払ってサービスを受ける人と、相手に役立つことをして(仕事をして)、価値に対する対価をもらう人とでは視点が変わります。それを理解しているかどうかで、就職活動の結果は大きく変わってくると思います。社会を知り、選択肢を持った状態で初めて選択ができるようになります。

インターンシップも、社会を知る一つの手段なのです。「内定につながるから」という安易な考えではなく、具体的に「社会の成り立ちや仕事の流れを知る」ために参加してこそ、インターンシップに価値が生まれるのです。

学生時代、一生懸命に取り組んだ経験を社会で活かしていく、社会につなげていくことを意識していくことが大切だと思います。無目的にインターンシップに参加しても、気づきや学びがなければ、内定につながるとも限りませんからね。

谷出正直(たにで・まさなお)
新卒採用アナリスト・コンサルタント。筑波大学大学院修了後、エン・ジャパンを経て、フリーで活動する。新卒採用に関連する情報・ノウハウ・知見・実績を持つ。
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