松本浩利が、いすゞ自動車の栃木工場に派遣されたのは、2005年6月。43歳のときである。栃木県小山市出身の松本は、地元の商業高校を卒業した後、正社員として、JRの貨物ターミナルの下請け会社で操車業務の仕事に就いた。

「でも、その後は何度か転職を繰り返してしまって、30代半ばからは派遣会社に登録して、派遣先で働くというパターンになりました。最初に行った工場で驚いたのは、正社員との間に明らかな差別待遇があることでした。駐車場は建物から一番遠く、雨の日はびしょ濡れ。更衣室もなく、社員食堂も利用できません」