海外に輸出して円安効果で利益を出す

でも、それだけ断トツの成績を挙げていた森田氏だが、「評価は高かったけど、おカネにならなかった」ために独立。世はまさにバブル前夜だった。1日8時間勉強して宅建の資格を取り、不動産会社を開業。3LDKの人には一戸建ての物件、2LDKの人には3LDKの物件のチラシを必死で配り、バンバン営業をかけ、最初から結構稼いだ。所有していた不動産を全部売って現金を掴んでみようと思ったら、10億円になった。

「遊びも忙しくて、時間は本当に足りなかった。ゴルフ、競輪、パチンコ、麻雀、なんでもやった。でも、遊んでいたから、助かったともいえる。バブル当時の腕のいい不動産屋は、用地の売買で利益を挙げていたけど、僕は忙しいから仲介業だけやっていた。利益は少なかったけれど、バブル崩壊の影響は受けなかった。時間の使い方は、世間で正しいことが、上手い使い方ともいえないんだよ」

ブランド品販売の世界に足を踏み入れたのは、面白い偶然だったという。不動産業をやっているときに2回も泥棒に入られ、悔しいから安全と思われる新宿の高層ビルに移った。ところが入ってからわかったのは、店舗棟で事務所利用は不可だった。

「3カ月、オープン準備中のままにしておいたけれど、いよいよ隠しきれず、家内の未使用だったシャネルのバッグを置いて形だけお店にしたら、あっという間に売れた。ちゃんとしたブランド品を、ほかより格段に安く販売したのが大きかった」

ただ、今はカジュアルファッションが流行りになっているため、ブランド品から女性客が離れてしまった。そのため、みんなが売りに来る。

「ネット販売も手がけていますが、買い取るばかりではおカネが入ってこないから、買い取った中古品の多くは海外に売る。中古のブランド品は海外に輸出して、円安効果で利益を出している。国内で販売しているのは新品が8割、新品同様が2割。信用商売ですから、海外のちゃんとしたところから仕入れてます。現金で、安くまとめて買ってくる。でも国内の販売は正直、厳しい」

それでもブランド品会社設立以来、売り上げは今が一番いいくらいだという。

ロイヤルシステム社長 森田 勉
1945年、東京生まれ。大学卒業後、ホテルオークラなどを経て、85年ロイヤルシステム設立。95年ブランド王ロイヤルを西新宿(現新宿南口)に開店。
(小川 聡=撮影)
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