高額納税者を顧客にできた理由

経営コンサルタントとして日々、オーナー経営者の相談を受ける市村洋文氏は、かつて野村證券でトップセールスとして名をはせた人物だ。しかし、“周回遅れ”からのスタートだった。

ファーストヴィレッジ社長 市村洋文氏

「野村證券には東大、京大、早稲田、慶応など、私の出身校の立教よりも立派な学歴の人たちがわんさといます。しかも私は大学で2年留年していますから」

不利な立場を挽回できた秘訣は、とにかく人より多く働くことだったと市村氏は振り返る。

「1年目から遅れを取り戻そうと、他の人が年間3000時間働くのを見て、自分は勝つために4000時間働こうと決めました。朝も人が7時に出社するので自分は6時出社です」

余分の1時間で日経、朝日、読売新聞を読み漁り、お客さんが喜ぶと思われる記事をスクラップして、7時前にFAXで送った。毎日それを繰り返すことで、業界の動きに敏感なオーナー経営者たちに重宝され始めたという。

さらに顧客の獲得で効果を発揮したのがオリジナルの自己紹介書とお礼状だ。

「新人時代はがむしゃらに1日200件の飛び込み営業をし、名刺を40枚集めていました。それでもそこからお客様になるのはたった1人しかいなかった。自分の営業が非効率的なことに気付いた」

そこから市村氏は顧客を富裕層に絞るようになる。顧客になる可能性の高い、高額納税者や上場会社の社長を調べ、アプローチする。しかし、彼らは容易には会ってくれなかった。