キーマンに会うこと。見積もりはその場で
「それでいろいろ電話をかけるんですが、ダメですよね。男に電話して『泊まってください、オークラに』と言っても、彼女でもいなければ泊まる理由がないじゃないですか。そこで、働く女性のリフレッシュを提案しては、と手書きのポスターをつくり、『1泊朝食付プール利用可、ワンドリンク付き8900円、ご連絡は森田まで』という内容で百貨店や銀行の社員食堂に貼らせてもらった。これがあたった。第2位の社員の予約はたったの20泊だったんですからね」
営業の一番重要なポイントは、トップに会って「君に任せても大丈夫だ」と信頼されること。当然、いきなり会わせてくれるわけはないから、アポも取らずに、社長に直談判をしにいったという。
「『社長のことはよく知ってますから』って押し切って、社長室に勝手に入るんです。向こうは知らなくても、こっちは知ってるわけだから、嘘じゃない。会ってしまうと、社長は苦労している人が多いから、『ここまで来るのも大変だったろう』って笑ってくれますよ。営業イコールキーマンに会うことです」
それとスピードも大事だという。「持ち帰って検討します」と言って、翌日電話をするのはダメな営業マンだという。
「その場で見積もりを作ること。間違えても端数部分の話でしょ。『社に戻って上司と相談して……』なんてやってたら、相見積もりを取られて、チャンスを逃してしまう。その場で見積もりが出せないようじゃ『頼りにならない』『こいつに仕事は任せられない』と思われる。営業マンは自信に満ちあふれてないと魅力がない。商談の最後には、『任せてください。一生懸命やります。間違いありません』ときっぱり言い切るんです。それくらい毅然とした態度を取れなければ、信頼されないし、大きな仕事は取れません」