「がん=死」の影を拭うには、どうすればいいのか?

主治医から「治るとは思わないでください」といわれた妻は、それでも明るく元気に過ごしていますが、常に「死の影」にまとわりつかれています。余命宣告されていないとはいうものの、近い将来、がんが治る薬が発明されない限り、妻の命があと何年もってくれるのか、わからない状態です。がんに直接命を取られなくとも、治療による免疫力低下のため風邪をこじらせても、命にかかわることはめずらしくないのです。このようなことをあらためて考えると、少なくとも妻の場合、「がんは死の病」と思わずにはいられません。

連載「ドキュメント 妻ががんになったら」が書籍化されました!『娘はまだ6歳、妻が乳がんになった』(プレジデント社刊)

がんが治る薬の誕生を待ち望んでいるだけでは、無為に死を待つようなものです。がんの治療については人それぞれの考え方がありますが、私も妻も、民間・食事療法によってがんが治るとは思っていません。これ以上にない健康的な生活を送ることでがんを克服しようとしている人は結構いますが、これではさらにつらいことを増やしているに過ぎないと思えるくらいです。

実際、このような人は検査の結果がよかったときはいいのですが、悪かったときは必要以上に落ち込んでしまうため、結局は闘病がうまくいかないことが少なくない、と感じている医者は少なくありません。

このようなことから、がんという強敵に打ち勝つためには、療養しながらもとことんアグレッシブに生きるべきではないか、と思うことがあります。たとえば、目標を達成するまでは死ねない、とこだわれるほどの「肉体的超人計画」がないと、がんに勝つことはできないと思うのです。

とんでもない発想と思われる人は多いでしょうが、少なくとも妻の場合、医学の常識から外れていると思われるような大胆な賭けに出ないと、がん完治の奇跡は起きないのです。死に向かって、心身ともに先細りするばかりなように思えてならないのです。