がんのことを話しても話さなくてもストレスがある

9月20日、フリーアナウンサーの小林麻央さんが、ブログで自身のがん進行状況を明らかにしたのは、すでに多くの人が知っていることでしょう。その日以降、ブログのネタが毎日ネットの記事になるほど注目を浴びており、励みになっているがん闘病者もかなりいます。その反響に対して、麻央さんも「苦しいのは私ひとりではないんだ。」とブログに書いており、頑張ろうと力が湧いてくるみたいです。

がんの進行状況が深刻であるにもかかわらずブログで明らかにし、自分の姿まで載せる麻央さんを、多くの人が応援しています。麻央さんの場合、夫の海老蔵さんをはじめ、身内も献身的なサポートをしてくれるので、それに応えるためにも、がんと対峙する覚悟がよりできたのだと思います。この点においては、ベストな状態で闘病生活を送ることができているといえますが、それでも、ここまで強くなれるのは、ふたりのお子さんに対する思いが強いからだと思います。

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ただ、がんの進行状況を明らかにすると、邪推する人も出てきます。そのため、かなり勇気がいることといってもいいでしょう。私の妻の場合、もうすぐ亡くなる人のことのように噂されたことがありました。「お金に困っているのなら離婚したほうがいい」と勧めた人もいます。このようにがんであることを周りの人に話すのは、リスクを伴うのです。一部の人に話しただけでも、このようなことをいわれてしまうのですから、麻央さん、海老蔵さんがいかに大変な目に遭っているかは、想像ができます。

逆に、妻ががんであることを隠していたため、娘の習い事で「協力的でないママ」と見なされたこともありました。一部のママから憎まれたため、しかたなくがんで急に体調が悪くなる日もあることを話しました。一応、理解してくれたみたいなのですが、逆に腫物に触るような扱いといったらいいのでしょうか……これからどうしたらいいのか、わからない状態です。がん闘病者の子どもは、保護者のサポートが大変な習い事は避けるべき、といっても過言ではないくらいです。かなりのストレスになり、病状が悪化するからです。