抗がん剤、病院選び、がんの正体……がん患者さんとご家族が“がん”と“がん治療”の全体像について基本的知識を得る機会は多くありません。本連載では、父と妻を“がん”で失った専門医が、医師そして家族の立場から、がん治療の基本を説きます。

進行しなければがんは怖くない

自分にがんの疑いがあると告げられたときのショックは、計り知れないものがあります。家族ががんになったときも同様でしょう。取り乱し、何も手に付かず放心状態になり、落ち込んでしまう人がほとんどです。なぜそうなるかといえば、「がんの告知=死の宣告」と受け止めてしまうからにほかなりません。

しかし医師として言えば、不安があることはよくわかりますが、なにもその時点で、そこまでショックを受ける必要はないということがほとんどです。