仕事を進めるうえで最も大切なのは、取引先や顧客、あるいは上司や部下、同僚との信頼関係を築くことだ。信頼をつくり上げるもの、そしてそれを壊すものは何なのか……それぞれの道で認められた「仕事の神様」に聞いた。
鍵山秀三郎氏の朝は早い。毎朝6時には掃除を始めるからだ。鍵山氏は「日本を美しくする会」を立ち上げ、経営の最前線から退いた後も掃除活動をしている。この日もまだ日が昇らぬうちに仲間が集まり、公園の掃除に汗を流していた。掃除をすることが、なぜ信頼につながるのか。
まわりから信頼を得るにはどうすればいいのか。ドイツの哲学者ディルタイは「信頼は相手のために払った犠牲の質と量に比例する」と言いましたが、私も同感です。本物の人間とは、言っていることとやっていることが同じ人です。もっともらしいことを言う人はたくさんいますが、口だけではいけません。実際に行動して何か犠牲を払っている相手に、人は信頼を寄せるのです。
掃除を続けるうち、周囲に変化が
私の場合、それが掃除でした。社内はもちろん、会社周辺も掃除します。トイレ掃除では、便器の中の水濾しも取り出してきれいにします。どんなに汚くても、手で徹底的に洗います。そうした積み重ねによって、まわりへの説得力がついてきます。
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