役員=経営陣にまで出世できる人は一握り。部課長止まりの人と、どう違うのか。正念場の行動パターンから読み解いてみよう。

家族が倒れたとき

病魔に狙われるのは、自分だけとは限らない。妻や親、子供が重い病気になったらどうするか。

入院するのは本人ではないから、必ずしも休職したり時短勤務を選んだりしなくてもいい。必要なのは「自分のなかの判断軸」(プロノバ社長 岡島悦子氏)だ。

「家族の状況がこうだったら家族を優先する、仕事の状況がこうだったら仕事を優先する。こういった条件付けをして、生き方の優先順位を自分のなかに用意しておくのです。すると行動に迷いがなくなり、自分で納得することができるし、人にもなぜそうしたかを説明できます」(岡島氏)

たとえ家族であっても、他人の健康をコントロールするのは難しい。

ストラテジックパートナーズジャパン代表取締役の兼本尚昌氏は最近、高齢の両親や妻の両親まで引き連れて、定期的に家族旅行に出かけているという経営者に話を聞いた。親世代は70代から80代。スケジュールにあわせて健康を管理し、一人も欠けることなく旅に出る。行き先は海外が多いという。

経営者がつねに親や子の状態を把握し、必要であればケアをしているから実現できるイベントだ。

「自分自身はもちろん周囲の健康にまで気を配り、最良のコンディションを整える。それができてこそ、組織のリーダーといえるのではないかと感心しました。田舎に残してきた親や郊外の家族をまったく顧みず、問題が起きてからあたふたするのではなく、日ごろから接触を保っておく。高齢社会を迎えるなかで、大事なポイントだと思います」(兼本氏)

プロノバ社長 岡島悦子
筑波大学国際関係学類卒業。三菱商事、米ハーバード大学経営大学院(MBA)、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・マネジメント・バンクの設立に参画。05年代表取締役。07年から現職。アステラス製薬などの社外取締役もつとめる。
 
ストラテジックパートナーズジャパン代表取締役 兼本尚昌
山口県出身。防衛大学校人文社会科学科国際関係論専攻を卒業後、ダンアンドブラッドストリートジャパン、ガートナージャパンなどを経て、ストラテジックパートナーズジャパンを設立。著書に『プロ・ヘッドハンターが教える 仕事ができる人のひとつ上の働き方』など。
(宇佐美雅浩=撮影)
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