NPB役員の報酬は、MLBの10分の1程度

MLBAMのサイトが展開するサービスは見事だ。有料会員(年間110ドル)になれば、MLBの全試合をライブ視聴できる。球速や球の回転数、選手の走り出しの速度など、様々なデータが表示され、チケットやグッズの購入もその場でできる。

MLBのチケットは、90年代には名門ヤンキース戦といえど5~10ドル程度で入手できた。当時は「野球は気軽にふらっと球場に立ち寄って見るもの」という感覚だった。

しかし現在では、各地で球場が一新されたこともあって、正規のチケット価格は90年代の3倍以上。ワールドシリーズともなれば、入場料は最低でも100ドル、平均のチケット価格は200~250ドルとされる。一試合で5万人が入場すれば、入場料だけで10億円以上になる計算だ。

MLBAMのサイト(写真上)。下はホワイトソックスの本拠地USセルラー・フィールド。

日本でも、球界再編問題が起こった05年を機にソフトバンクや楽天などの新規参入組を中心に経営改革が進んだ。カスタマー・ファーストの意識が浸透し、チームづくりでも3軍制の導入や年俸制度の改革、IT化が進められた。球場との契約慣行も見直され、収益力は向上してきている。しかし、MLBをはじめ市場を世界に広げた団体と“マルドメ”NPBとの差がさらに開いたことは、直視せざるをえない。

今後の日本は、ハードではなくソフトの時代だ。そのコンテンツの中でも、スポーツは人々が等しく楽しめる健全な娯楽であり、ライブという点で絶対的な優位性を持つ。東京五輪やラグビーW杯を控え、欧米をキャッチアップする機は熟している。

ただ日本のプロ野球界は、親会社やそのグループとの縦の繋がりが強く、MLBのような試合の放送権やインターネット報道の一括管理が困難だ。この現実を無視して、北米型の権利の一括管理ばかり追い求めても、事は動かない。欧米の先行事例を踏まえ、第三の道を模索すべきだろう。

球界の発展のために重要なのは、一にも二にも優秀な人材。フロントの待遇改善が必要だ。MLB球団ならば、役員ともなれば年俸100万ドルは下らない。しかしNPBではその10分の1程度がフツーの話。これでは優秀な人材は来ない。

旧秩序との間の摩擦を恐れずにイノベーションを巻き起こす者が異業種から続々乱入すれば、プロ野球は必ず輝きを取り戻す。それだけのコンテンツ力はあるのだから。

(構成=久保田正志 図版作成=大橋昭一)
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