一方、日本では札幌の日本ハムファイターズなど、自治体もしくは第三セクターが所有する公営球場をフランチャイズとしているが、球場の使用料は年間10億円を下らない。それでいて、球場の看板や売店の営業権は基本的に公営球場側が所有する。かつて千葉ロッテマリーンズでは、親会社のロッテが県の指定納入業者になれなかったため、本拠地マリンスタジアムの売店で売られているアイスクリームが他社製品だったこともある。札幌ドームでは今も、ファイターズの親会社である日本ハムは、場所代を支払って借り上げている専用ブース以外では、自社製品を売れないのだ。
ヤフオクドームは93年、当時のホークスの親会社であったダイエーが760億円を投じて建設したが、ダイエーの経営破綻により外資系ファンドの手に渡った。12年にソフトバンクが860億円でドームを買い取るまで、ホークスは球場使用料として年間50億円以上を徴収されたうえ、修繕や固定資産税など球場の維持費のすべてを負担し、その総額は60億円超。ソフトバンクホークスの社是は「目指せ! 世界一」だが、「家賃については球団買収と同時に目標達成ですね」と関係者一同、苦笑いしていた。
しかもこれだけ支払っても、公営球場の優先使用権は球団にはない。高校野球や市のイベント等が優先され、それらの日程が一通り決まってから、使用可能日が球団に連絡される。そのため、各イベントの合間を縫って試合を編成せざるをえず、毎年、針の穴に糸を通すような編成作業を強いられているのである。
MLBはテレビや自治体に頼るだけでなく、自ら経営改革を進めてきた。たとえばそれまで各球団でバラバラに行っていたインターネットの運営と管理を、MLBAMという会社を設立してそこに集約。当初は各球団からの出資で運用していたが、3年目には黒字化し、今や売上高7億ドル以上、売上高利益率30%超の超優良企業となった。