「親は関与しない、あなたの勉強だから」という態度ではなく、わが子の性格に合わせて、演技でもいいから、その気にさせる工夫を考えなくてはなりません。ただし、互いの間に距離は必要で、この辺は親としての学びになります。重要なのは「ただ、やりなさい」では、続かないどころか逆効果でしかないということです。

親は、ちょっとしたことでも気付いてやり、「本当はできるんだ」という思いを喚起する努力を心がけなければなりません。東大に入るということも、結果ではなく、将来のための技術を得る過程の通過点にすぎず、合格するだけの「計画性、勤勉性を身につけた」ということを尊重すべきです。

(2)については、碇さんの著書の中に『「生きていくことは失敗の連続。うまくいくことのほうが少ない」と確信している。だから、息子が失敗することを気にしなかった。むしろ、息子の失敗を楽しんでいた。』とありましたが、この思考、心構えこそ、親として、必要なことだと共感しました。

現代の親の多くは、失敗してはいけない、失敗は悪いことと捉え、その態度が子どもにも受け継がれ、子供自身が「失敗してはいけない、失敗したくない」という心情から、結果的に「挑戦しない、保証がなければやらない」となり、最終的に「何もしない」ようになっています。

人は失敗から学ぶことのほうが圧倒的に多く、身をもって知ることで次にいかせるものです。したがって、生命身体に危険がない限り、見守ることが肝要と考えています。安易に、あるいはすぐに手助けをすれば、間違いなく「依存心」が植え付けられるでしょう。依存心というのは、一度、心に生じてしまうと、消すことは容易ではなく、そのために多大なエネルギー・時間を要するものです。

失敗することが大事なのではなく、失敗を「どのように捉え、そこから何を学ぶのか」が重要となります。失敗を失望という情緒に結び付けさせず、原因を論理的に分析させ、対策を考えるような思考形式を覚えてもらう、というのが親の仕事です。情緒で捉えるから、現実以上に「自分はダメだ、能力がない」などと、不必要に落ち込んでしまい、本来の能力を自分で発揮できないようにしてしまうのです。

親はどんな深刻な状況でも、そうでないような態度と笑顔で接しなければいけません。そして、「自分もそのような失敗をしてきた。そのときは失望を感じたが、対策を講じることで克服できた。必要なのは原因の究明と対策なんだ」と教え、励ましてやらねばなりません。それらすべては、再度、挑戦する心を持てるようにしてやるためです。

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