認知症が発症し、認知症高齢者グループホームに入居するなら、月額費用のほか、数百万円の入居金が必要になることもある。認知症保険の加入を検討する場合は、保険加入の優先順位とともに、認知症になる確率や家族がどれだけ介護に時間・労力・コストを割けるかなど、総合的に現状を整理して判断したい。
今年3月1日に認知症の高齢者による列車事故の最高裁判決が出たことも、認知症に特化した保険が注目される要因となっている。今回の判決では、家族の監督責任と損害賠償(約360万円)は問われなかったが、適切なケアを怠れば賠償請求される可能性も示唆する判決内容となった。
万一、列車事故などで損害賠償請求が認められると莫大な賠償額になることもある。実際、1992年の列車とダンプカーの衝突事故では、1億円を超える賠償額の請求があった。高額な損害賠償をカバーするには、認知症保険よりも損害保険会社の個人賠償責任保険が向いている。誤って他人をケガさせたり、物を壊したりしたときに賠償金などを支払うためのもので、最近、損保大手などが補償対象を拡大。離れて暮らす親の補償もカバーできる商品もある。
不安の正体は何なのか。よく見極めて、適切な保険を選ぶようにしたい。
(構成=早川幸子)