公的介護保険には現物給付しかない
介護は人生における大きなリスクのひとつになっている。介護が必要になったとき、公的介護保険の適用が受けられるが、それだけではすべてを賄えるかどうか心配。それを補う商品として、民間の介護保険も増えている。
公的介護保険では、要介護認定を受けると、在宅サービスや施設の利用が可能になる。しかし、現物給付のみで現金の給付はない。これに対して、民間の介護保険は現金給付が基本。公的介護保険ではカバーできない部分を補うことができる。
将来の介護に備え、若いうちから民間の介護保険に加入しておけば安心だが、保険料負担は軽くない。効率よく備えるのであれば、リスクが高まる手前で加入しても遅くない。
公的介護保険の受給者の年齢を見ると(グラフ参照)、79歳までは10%までにとどまっている。上昇するのは80代以降だ。
インフレの心配もある。仮に50歳で加入すると、80歳までには30年間ある。毎年2%ずつ物価が上昇していけば、現在100万円の介護費用は約180万円に上昇する計算だ。現在の金銭価値で民間介護保険に加入したとしても、将来、その金額で役立つかどうかわからない。
若いうちは貯蓄や投資で資金を増やし、介護リスクが高まる手前でかつ保険に加入しやすい60代後半で民間の介護保険に加入するという考え方もあるわけだ。
一方で交通事故やケガによる要介護状態が心配であれば、若い世代でも民間の介護保険で備えるのもよいだろう。公的介護保険の保障対象は、原則65歳以上だからだ。