トラブルは10年間で4割増

相続をめぐるトラブルは年々増加しつつある。相続が発生すると、相続人は遺産分割協議を行い、誰が何をどのくらい相続するのかを話し合う。なかには話し合いがまとまらないこともあり、家庭裁判所の審判や調停にゆだねるケースが多くなっているのだ。

司法統計によると、このような遺産分割事件の新受件数は、2012年に1万5000件を超えている。10年前の02年には、約1万1000件だったことを考えると、約4割の増加となる。

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基礎控除の縮小

相続にまつわるトラブルは、今後さらに増加する可能性がある。15年1月以降の相続分から相続税が増税されるからだ。とくに影響が大きいのは基礎控除の縮小(図参照)。これにより、相続税の申告対象者が急増する見込みだ。都市部では“財産は自宅だけ”という場合でも、相続税とは無縁ではいられなくなる。

加えて、今後、経済が回復し継続的に物価が上昇していけば、不動産価格なども上昇する。そうなれば土地や家の相続税評価も上昇し、相続税の負担がますます重くなる可能性がある。

親が残してくれた財産をスムーズに受け継ぐためには、しっかり対策を講じておくことが欠かせなくなっている。対策には主に(1)節税、(2)納税資金、(3)遺産争いの防止がある。

円満相続のための生命保険活用3つのメリット
(1)節税
現預金を生命保険に換えれば、非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使える。
(2)納税資金の準備
支払った保険料よりも高額な保険金が受け取れるので、納税資金として利用できる。
(3)遺産争いの防止
分割できる財産がない場合、生命保険に加入すれば、保険金を遺産分割に活用できる。

節税とは相続税の額そのものを減らす対策だ。課税対象となる財産の額をどうやって減らすかがポイントとなる。

納税資金対策は、相続税を納付する資金を確保する対策だ。前述のように“財産は自宅だけ”で相続税がかかってしまうと、納税する資金がないケースもある。場合によっては自宅を手放す必要が出てくるかもしれない。そのような事態を回避するためには、計画的に納税資金を確保しておかなければならない。

遺産争いは、相続税がかからなくても発生しがちなもの。財産の分割がうまくできずに揉めるケースが多いため、分割しやすい財産をつくっておくのがポイントだ。