自治体が独自に発行している「プレミアム商品券」。地元の商店街でお得に買い物ができる一方で、使用時の制約も多い。果たして買うべきか?

1万円の出費で1万1000円分に

プレミアム商品券とは、購入金額に一定の割増分(プレミアム)を加算した額で、地元の商店で買い物ができる金券のことをいう。

これまでも地域経済の活性化を目的に、一部の自治体がプレミアム分の補助を出す形で発行されてきたが、2015年に国が緊急経済対策として2500億円もの予算をつけたことで、全国の約1800の自治体が導入。なかには30%のプレミアム加算があるケースもあり、あっという間に売り切れになるほどの人気を集めた。

今年からは国の交付金制度が変わり、発行する自治体は大幅に減る見通し。とはいえ、東京都の北区、品川区や葛飾区、愛知県名古屋市や奈良県橿原市など、引き続き商品券計画を発表しているところもある(世田谷区は予約申し込み終了、品川区と葛飾区の商品券はすでに売り切れ)。

プレミアム商品券のメリットは、ずばり「1万円の出費で1万1000円分」といった、お得な買い物ができること。一方でその「お得さ」は、さまざまな制約と表裏一体だ。使えるお店は地元商店街などに限定され、有効期限も定められている。お釣りが出ないケースも多い。

私も昨年(2015年)、自分の住んでいる東京都内の自治体で発行しているプレミアム商品券を購入してみたのだが、その用途は近所の飲食店で外食をする際に使う程度。商品券の購入可能額にも上限があり、購入資格を地元住民に限定している自治体も少なくない。

こうした条件や発行時期・売り出し場所などは、自治体ごとにばらばらで、かつPRもあまりされていない。

たとえ買えたとしても、平日の昼間に商品券の受け取りに出向くだけの見返りを得られるかどうか。ふるさと納税などと比べ、広くおすすめできる仕組みとは言いにくいというのが正直なところだ。