「たとえ~だとしても」ウチの子は素晴らしい
以上、代表的な3点を挙げてみたが、最後に思春期の子育てで迷子になっている親御さんにこの話をして、このコラムを〆たい。
私の息子が15歳の頃(現26歳)、私はとても悩んでいた。親とは会話をしない、成績不振、ゲームにのめり込む、交友関係不明、エトセトラ。息子の長所なんてひとつも思い浮かばなかったのだ。
丁度、その頃、息子が通っていた高校でサマースクールがあったので、大枚はたいて3週間のカナダホームステイに放り出した。息子と一緒にいると、上記1~3で息子を潰してしまいそうだったから、私自身が逃げたかったのだ。
しかし、当時、子どもが親と別人格という意識に乏しかった私は息子を手放す心配で発狂しそうだった。それで、ホストマザーに手紙を書いたのだ。
「躾がなってなくて申し訳ない。英語も得意とは言えない。人参も食べないことが多い。にこやかに挨拶もしないかも。問いかけにも反応薄いかも。YES.NOも言えないかも。ああ、心配だ! 心配だ! 心配だーーー!!!」
ホストマザーからの返信にはこうあった。
「あなたはとても良い子を育てた。たこ太(息子の名まえ)はとても良いファミリーを持っていて最高だ。こんな素敵な子と過ごせてすごい喜びだ」
息子と同時に母である私を褒めてくれたのだ。そして最後にこうあった。
「You have a very special son and must be very proud him, even if he won't eat a carrot.」
(あなたはとっても素晴らしい子を持って誇りに思うべきね、たとえ、人参を食べまいとね)
「even if」(たとえ~だとしても)
この言葉を繰り返し、私はどれだけ救われたことだろう。
迷子になっている母、あなたの子どもは素晴らしい。たとえ「even if」があったとしても。