なぜ、思春期の女のコは友だちと心中するのか?

先月9日、東京都品川区の東急大井町線荏原町駅で、中学2年生の女子生徒2人が電車にはねられる事故が起きた。手をつないで線路に飛び降りる姿が目撃されており、カバンに遺書らしき手書きメモも残っていたことから、自殺と報じられている。

同様の事件は2年前にも起きている。大田区の小学校6年生の女子生徒2人が、揃ってマンションから飛び降り自殺をして、死亡したのだ。どうしたら、このような悲劇が防げるのか。背景には人間関係や中学受験への悩みがあったといわれるが、ここでは「心中」にまで至ってしまう思春期の女の子の友人関係について考えてみたい。

10歳を超えた頃から、子供にとって重要な他者は親から友達に変わる。それは親離れの第一歩で、成長だ。娘に何でも相談できる友達ができたなら、親としても喜ばしいことだ。しかし、仲が良すぎる場合は注意が必要である。

発達心理学が専門の法政大学文学部心理学科の教授・渡辺弥生さんは、次のように説明する。

「人は親密になろうとするときに、自分の内面を話す『自己開示』を行います。人には言えない悩みや不安を打ち明け、互いの秘密を共有することで親しくなっていくのです。しかし、思春期はただでさえ悩みや迷いが増える時期。盛んに自己開示することで、自分だけでなく、相手の課題も抱えやすいのです」

この頃の女の子は、とにかく友達と四六時中話をしている。休み時間も校庭でサッカーを楽しむ男子をよそに、女の子は教室に残っておしゃべり。それは学校にいる間だけでなく、帰宅後も、昔なら長電話、いまならLINEでやりとりが続く。

「行動を共有することが友達関係をつくるうえで大事な男の子と異なり、女の子は感情を共有しようとします。嬉しかったこと、悲しかったことを常に反芻し合う特徴が強くあります(共同反芻)。ひとりがひどく悩んでいたら、もうひとりも苦しみます。互いに苦しいことや悲しいことを何度も繰り返しながら、自分たちでは打開策を見つけられず、さらに誰にも相談できずに絶望してしまったら、どうでしょう。ひとりが生きることに疲れてしまう気持ちを持てば、もうひとりもそこに心理的に巻き込まれていってしまうこともあるのです。もともと思春期の女の子は、第2次性徴に伴う女性ホルモンの影響で気持ちが不安定になりやすく、極端な考えにも陥りやすいものです。親は子供だけでなく、お友達の様子の様子を含めて悩んでいないか、2人がいまどういう状態にあるのか気にかけてほしいものです」(渡辺さん)