「人工知能=ウサイン・ボルト」にいかに勝つか?

AI(人工知能)の時代――。かつて単純作業しかできないといわれていたロボットが、将棋や囲碁などの世界チャンピオンを破るというような事態が起きています。最近では、米マイクロソフトが開発した「Tay」が、その学習能力の高さゆえに差別的発言をしたことも話題になりました。

これからますます高度な知能を要する分野にITが進出してくることが予想されます。

そしてここ10年ほどで、米国では現存の職業の半分がなくなる可能性があるといいます。日本でも同様です。このロボット大躍進時代に、子どもをロボットに負けない人間にするために、親はどのようなことをすればいいのでしょうか。

突然ですが、問題です。

あなたがウサイン・ボルトに100m走で勝つ方法は何でしょうか?

答えは……あなたが車やバイクに乗って走ることです。明らかに反則です。しかし、これは冗談ではありません。ロボットと人間が競うというのは、そういうことです。パワーやスピードという点において、どんなに優秀な人間でも機械には絶対に勝てません。科学的トレーニングとか心理学とか根性とかの分野ではありません。物理的・空間的な法則であり、摂理です。

つまり、私が言いたいのは、ロボットの得意分野で対抗してはいけないということです。計算の速さでロボットと勝負しても無駄です。

例えば、スーパーコンピューター「京」の計算速度は、その名の通り1秒間に1京回。これは、「地球上の全人口70億人が電卓を持って集まり、全員が24時間不眠不休で1秒間に1回のペースで計算を続け、約17日間かけてようやく終わる勘定」だそうです。

競争相手としては、強敵すぎます。勝負どうこう以前の問題です。単純作業や長時間労働の能力でロボットに対抗しても無駄です。ロボットは24時間365日、ものすごい能率で働けます。