人を集めるための100円コーヒー
【弘兼】武雄市図書館の成功を受けて、神奈川県の海老名市立図書館のリニューアルもCCCが手がけています。
【増田】リニューアル前の海老名市立図書館は夕方の6時には閉まっていた。それでは仕事帰りに行けない。だから開館時間を延ばして、本屋、スターバックスを入れて明るく変えました。ネット時代に必要なのは人の集まる場所です。図書館では本が無料で読めて、自習もできる。
【弘兼】武雄市、海老名市の図書館はリニューアルでしたが、今年3月にオープンした宮城県多賀城市立図書館は設計から関わっています。
【増田】多賀城市は東日本大震災の被災地でもあります。震災で散り散りばらばらになっている人たちがいる。だから、コンセプトは人が集まる「家」。図書館の中にファミリーマートがあって100円の淹れ立てのコーヒーがある。震災で避難住宅にいる方も図書館に来れば、100円でコーヒーを飲みながら、朝から晩まで楽しめる。子ども向けの絵本の読み聞かせも無料です。
【弘兼】かつての図書館と社会的機能性が変わってきているということですね。行政ではその変化を汲み取ることができなかった。
【増田】日本経済の問題の1つとして需要よりも供給が上回っていることがある。僕らの手がけた図書館に来た人は、本を読んで、こんな場所に行きたい、この車が欲しい、こんなお洒落な服が着たい、もっと学びたいと感じるようになります。意欲を刺激するので、需要が増える。そうなると街が活性化していく。
【弘兼】地方創生のモデルになりますね。話を伺っていると増田さんは次々とビジネスを思いついて走り続けているように見えます。息抜き、趣味ってあるのですか?
【増田】趣味? 仕事ですよ。時間があったら仕事をします。だって面白いじゃないですか。プラットフォームをつくる、データベースをいじくる。ライフスタイルコンテンツをガチャガチャやるって、これ以上に面白い遊びはありませんよ。