昨年の開館以来、民間に委託された公立図書館として話題を集め、1日の来館客約7000人という大盛況。議論百出のこのプロジェクトを主導した“変人市長”が頑として譲らぬ「快適な空間づくり」とは――?

「2時間いられる」空間をどうつくるか


佐賀県・武雄市長 樋渡啓祐氏

「頭がよくなる」ってどういうことかというと、多分「お肌がきれいになる」っていうことと同じだと思うんです。肌をきれいにするためには、肌そのものに目を向けるよりも、日ごろの生活習慣や食べ物に気を配って、その結果きれいになる。頭のよさも同様で、頭そのものをどうこうするより、頭がよくなるような生活をしていれば、その結果、おのずとよくなるのだと思います。

そのために一番いいのは一流の人と会うことですが、それはなかなか難しいですから、まず一流の空間に身を浸すことを心がければいい。頭というより体全体でシャワーをバーッと“浴びる”感じ。いい空間にいないと、やはりダメだと思うんです。ここ(武雄市図書館)か、ここと同じカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が営む蔦屋書店(東京・代官山)に1回来て、そこで感じ取ったことを自宅に持ち帰って再現するといいのではないでしょうか。

ここを建て替えるにあたって、一番の大枠の考え方は、気持ちの悪い空間を気持ちのいい空間にすること。これに尽きました。これまではカビ臭かったり、光の入り方が悪かったり。管理者目線での運営だから、そういうことを何も考慮していなかった。こっちはもう顧客目線で、改善なんてぬるいことは言わず、ちゃぶ台返しくらいの勢いでひっくり返したからこうなったんです。