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「路地裏を意識した」(樋渡氏)という1階の書棚。中に入ると、“食”“旅”“子供”といったテーマごとのスペースが次々と現れる。「おお、何だここは!? とか、ちょっと奥まったところがワッと広がるとか。日本人は路地裏が好きなんですよ」。

私もユーザーの一人です。まず自分が2時間いることのできる空間をつくりたいなと思いました。嫌な場所だと僕は5分か10分で嫌になりますから、2時間いられるには、本当にいい空間じゃなきゃダメ。どうしたらそんな空間ができるかを考えるとき、ハレ(非日常)とケ(日常)という古来の考え方が役に立ちます。

武雄もそうですが、地方ってある意味、ケの空間ばかり。逆に都会、特に都心部はハレの空間ばかりです。私は東京に行くとハレの場ばかりで息苦しいんですが、逆にケの空間ばかりでも違う意味で息が詰まる。どちらに偏ってもダメだから、この相矛盾するハレとケを同居させたかった。これが根本の理念です。

そのための教科書はちゃんとあります。参考にしたのは、まず京都のお寺。庭を見たり、仏像を見たりして、気が付いてみたら3~4時間は経っています。居心地がいいからですよ。あるいは帝国ホテルやパレスホテルといった名だたるホテル。ロビーにいるだけで安らぐし、気分が上がるじゃないですか。

これらをTTP、つまり徹底してパクった(笑)。お寺の中には坊さんの声が聞こえるハレの場もあれば、音のない庭のようなケの場もある。しかし仕切りがなくても、それぞれを好む人の居場所がある。一流のホテルも同様で、たとえば帝国ホテルのロビーにいると落ち着くのは、光の加減が素晴らしいのと、ちょうどいい感じで目線が置けるから。仕切り・境界はないけれども少し目隠しがあって、多少は見渡せるけれども、段差もあってすべてが見渡せるわけではない。その加減が絶妙なんです。