政府による予知は難しいが「現行犯逮捕」はできる

つまり、発生時期をより正確に予測するためには、新たな見地からの前兆現象の研究を行わなくてはならないのです。たとえば、地震の直前に観測されている電磁波の異常や、最近では電離層電子密度の異常、さらには臨界現象の物理学(破壊の物理学)といった分野からの予知研究への参画です。これらは“予知”というより、すでに地震が発生の準備を終わり、(数日前から広い意味での地震が開始している可能性がある)すでにゆっくりとした破壊(=大地震の発生につながる破壊)が開始したのを現行犯逮捕するものだとお考え頂いて結構です。ちなみに、東日本大震災の前には、下記のようなシグナルが出ていました。

・数年前から…… 静穏化を含む地震活動の異常、地殻変動の異常
・数カ月前から…… 地下水の異常、ラドンの異常
・1カ月ほど前から…… 地磁気の異常
・数日前から…… 前震の発生およびその震源域の移動、電離層の各種異常
・1時間ほど前から…… 電離層電子密度の異常

東日本大震災の前兆現象

これらの様々な「シグナル」が実際に出ていたにもかかわらず、東日本大震災はなぜ予測できなかったのでしょうか。それは、大地が発するシグナルを組織的に監視し、警告を発するシステムが存在しないからです。本当は、地震は予知できるのです。大地が発するシグナルをきちんと捉え、その情報を発信できるシステムが構築されていないために、現在では予知が不可能と考えられているに過ぎないのだと思います。

将来の南海トラフ沿いの巨大地震は最悪の場合、死者30万人以上、被害額300兆円以上とも言われており、国難というより、“国滅”だとも言われています。この巨大地震を予測することができれば、多くの人命と財産を救うことができるでしょう。「地震予知は不可能だ」「地震予知はオカルトや超能力のようなものだ」などと、予知自体を諦めてしまうのではなく、大地が発するシグナルを組織的に監視・分析するシステムの構築に注力するべきであると考えます。