4月14日、熊本県・益城町周辺を震源とする最大震度7の大規模地震が発生した。国内で震度7が観測されたのは4回目で、東日本大震災以来初。さらに、16日未明、同県の阿蘇、熊本などで震度6強の地震が短時間に連続して発生した。「本震」とされるこの地震のM7.3は、阪神大震災と同じだがエネルギー量は約1.4倍だという。一度大きな地震が起き、次第に落ち着いていくという常識から外れ、19日正午までに、合わせて610回以上の地震が起きている。
震源に近い大病院に勤める医療スタッフは、地震発生からの数日間を振り返って次のように語る。
「14日の地震はたしかにすごかったです。でも、この段階では倒壊した建物も少なく、重症患者どころか怪我人も少なかったので『不幸中の幸い』という気持ちでした。翌日には比較的落ち着いてきたので、立ち上げた医療チームも一旦解散したほどだったんです。そのタイミングで本震が来て、今度はどんどん重症患者が運ばれてきました。一時は病院の外まで行列ができて、トリアージ(患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定すること)を行ったほど。自宅で被災して、病院に戻ってこられない医師もいました」
益城町で住家の被害を調査した結果、全壊1026軒、一部損壊を含む半壊が4374軒となり、全住家の半数近くで被害が確認された。20日の段階で確認されている死亡者数は47人。同県内の避難所には約9万5000人が身を寄せており、車内で避難生活を送る人も多いという。16日の地震で怪我をし、病院に行ったという人も、混乱した現場を目撃していた。
「揺れのあと、あちこちから救急車のサイレンが聞こえて、街は一瞬で騒然となりました。病院に行くと、停電している棟もあって、仕方なく廊下で処置していましたよ。まさか熊本でこんなに大きな地震が起こるなんて」
震度7の地震が九州地方で観測されるのは、1923年の観測開始以来はじめてのことである。それだけにショックを感じている人も多く、断続的な余震によるストレスも大きいようだ。